ふるさとミライカレッジ 事務局
町の交流文化を土台にした大学連携・交流事業の積み上げと発展
小布施町では、2005年に始まった東京理科大学との連携を皮切りに、自治体が主体性をもって大学連携を進める受入基盤を培ってきました。国道403号整備や「森の駐車場」の整備など、実装を伴う成果を積み重ねるなかで、大学連携を通じて地域課題を解決していくという意識が、地域側にも徐々に醸成されてきました。 また、小布施若者会議や小布施バーチャル町民会議を通じて、域外人材との交流の文化を継承され、こうした取組は2024年に「ミライ構想カレッジ in 小布施」へと発展しています。交流の取組においては、域外人材が担い手として地域に定着・循環する体制が築かれ、地域コーディネーターとファシリテーターの役割分担によって共創が推進されています。さらに、東京大学等との連携を通じて、関与を継続する人材を「共創人口」と定義し、その創出プロセスを研究ながら、プログラムとしての実装につなげています。 |
▲ プログラム参加者によるフィールドワーク(左)
▲ プログラム参加者が地域住民や関係者に成果を発表する様子右)
各事例のポイントを、「共創まちづくり」の観点から“読み解くヒント”としてまとめました。
事例はそのまま模倣することが難しいからこそ、本ヒントを参考に背景やプロセスに着目し、実践に向けた学びの手がかりとしてご活用ください。
--目次--
- 基礎情報
- 経緯や転換点を生んだ工夫
- 地域側の受入基盤整備
- 大学連携・域外人材との交流の蓄積が、研究プロジェクトへ発展
- 体制上の工夫
- 担い手が連鎖的に構築されてきた体制
- 「共創人口」創出への挑戦
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基礎情報
自治体名 | 長野県 小布施町 |
人口規模 | 10,863人 |
連携大学(所在地) | 東京理科大学(東京都)、慶應義塾大学(東京都)、東京大学(東京都)、法政大学(東京都)、信州大学(長野県)、長野工業高等専門学校(長野県)、武蔵野大学(東京都)、ZEN大学(通信制)、Co-Innovation University(岐阜県)他 |
経緯や転換点を生んだ工夫


▲ 東京理科大学の学生が役場内で作業する様子(左)
▲ 若者会議でのディスカッション風景(右)
地域側の受入基盤整備
小布施町では、これまでさまざまな大学との連携に取り組んできました。そのなかでも、2005年に始まった東京理科大学との連携は、初期の代表的な取組として位置づけられています。連携にあたっては、町役場内に「小布施まちづくり研究所」というスペースを設け、住民参加型のワークショップを実施しました。こうした積み重ねを通じ、自治体が主体性をもって大学連携を進めていく風土が、少しずつ育まれていきました。
東京理科大学との連携によって、国道403号整備における意匠・照明計画の検討が進み、「森の駐車場」の整備など具体的な成果も生まれました。こうした成果を創出する実践を通じて、大学連携によって地域課題を解決し、実装までつなげていけるという感覚が、自治体や住民の間で共有されていきました。その手応えが、その後の新たな大学連携へとつながっていきます。
大学連携・域外人材との交流の蓄積が、研究プロジェクトへ発展
小布施町では、大学連携にとどまらず、域外の人々を巻き込みながら関係性を育む取組を長年にわたり継続してきました。江戸時代に、葛飾北斎を客人として招き入れたという “町の物語”を大切に共有し、交流の文化を継承しようとする住民や、UIターン者も、少しずつ増えてきています。
2012年には、自治体が主催して「小布施若者会議」が開催されました。全国から若者が集い、日本社会のあり方や課題解決について議論が交わされました。その後、コロナ禍では「小布施バーチャル町民会議」としてオンライン開催へと形を変え、社会のあり方を構想しながら、地域課題の解決策を実行するプログラムが試行されてきました。形式は変わりながらも、「考える」と「実行する」を行き来する姿勢は、一貫して大切にされてきました。
こうした積み重ねを背景に、域内外の人材が交流する取組は、2024年から「ミライ構想カレッジ in 小布施」へと発展しました。これは、若者会議などの流れを引き継ぎながら、「共創人口が生まれるプロセスを可視化する」ことをテーマに、大学・学生と連携した研究プロジェクトです。これまでの町の取組や大学連携の蓄積があったからこそ、小布施町は大学にとって、地域課題の解決に向けた研究や実践を行うフィールドとして選ばれるようになってきたのです。
▲ 小布施若者会議の様子
体制上の工夫
担い手が連鎖的に構築されてきた体制
小布施町で現在取り組まれている「ミライ構想カレッジ in 小布施」においても、コーディネーターや個別プロジェクトの担い手の多くは、もともと域外から関わり始めた人材です。彼らは、若者会議など過去の取組を通じて町との関係を築き、徐々に「町の中の人」へと立ち位置を変えてきました。実際に、ミライ構想カレッジの運営過程では、1回目のプログラムでは域外参加者だった学生が、2回目にはコーディネーターとして関わるといった事例も生まれています。
このように、域外人材との関わりを起点として担い手が連鎖的に生まれていくこと自体が、本取組の大きな成果の一つだといえます。小布施町では、プロジェクトの成果にとどまらず、関与した「人」そのものを町の大切な資源として位置付けています。地域おこし協力隊などの制度を活用しながら、域内人材が域外人材とともに地域資源を生かした次のプロジェクトを立ち上げるなど、町の一員として役割を持ち続けられる「関わりしろ」を意図的に用意してきた点が特徴です。
「共創人口」創出への挑戦
「ミライ構想カレッジ in 小布施」では、域内外から集まった参加者によってチームが組まれています。参加者は学生をはじめ、年齢層もバックグラウンドもさまざまです。専門性も立場も異なる人たちが集まるからこそ、参加者間、そして参加者と地域がどのように関わり、プロジェクトを前に進めていくかが重要になります。
そこで本プログラムでは、二つの役割が機能する体制を整えてきました。一つは、地域でのフィールドワークや体験、住民との交流を調整する「地域コーディネーター」。もう一つは、チーム内の合意形成を支えながらプロジェクトを前に進めていく「ファシリテーター」です。この役割の設計によって、多様な参加者が安心して関わり、それぞれの力を発揮できる場が生まれています。
こうした役割設計や、域外の人々を巻き込むための試行錯誤を「経験値」として地域に蓄積してきた結果、プログラム期間終了後も参加者による活動が継続しています。定期的にオンラインで集まり、個別プロジェクトの地域実装に向けた議論を重ねているほか、小布施町へ移住し、プログラムから派生したテーマを掲げて活動を続けている人もいます。
学生に限らず、幅広い人材が共創する建付けだからこそ生まれている成果であり、小布施町では東京大学などと連携しながら、こうした人材を「共創人口」と定義し、その創出プロセスを継続的に研究しています。
▲ 学生によるファシリテート
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