京都府京丹波町では、来訪者の多くが高速道路利用者で町内滞在や消費への転換率は限定的であるため、流入ポテンシャルが十分に地域経済へ波及していないという課題を抱えていました。地域資源や観光地は点在しているものの、情報発信力の不足や高齢化の進行により十分に活用されておらず、流入ポテンシャルを地域経済へ転換できていない状況でした。 こうした状況の中、2023年より行政の若手職員・移住者・地域住民による「京丹波イノベーションラボ」が発足し、2025年夏にNPO法人化。若者が主体的に地域課題に向き合う機運が高まっていました。 外部の若者の視点を取り入れながら、道の駅「京丹波 味夢の里」という強力な流入拠点を起点に観光導線を再設計し、地域資源を“点”から“線”へと結び直すことを目的とし、「ふるさとミライカレッジ事業」の令和7年度モデル実証事業に参画しました。 観光アプリ(導線設計)、観光動画(認知拡大)、ホテル誘致検討(滞在促進)を同時並行で推進しながら、大学生をはじめとした若者が実装型で地域政策に関わるモデルを構築し、単発的関与にとどまらない持続的な関係人口創出モデルの確立を目指しています。 |
▲ 大学生と地域住民が一体となって観光導線再設計に向けた現状把握と課題を抽出(左)
▲ 地域NPO法人と連携し、新たな季節別コンテンツをテストマーケティング(右)
基礎情報
| 自治体名 | 京都府京丹波町 |
| 人口規模 ※令和7年度時点 | 12,072人 |
| 連携大学等(所在地) | 一橋大学(東京都) |
取り組み自治体の声
Q1. 実際に取り組んでみて、「やってよかった」と感じたことは何ですか?
A1. 年間300万人が訪れる道の駅「味夢の里」という強い流入拠点がありながら、町内回遊に結びついていないという課題は以前から認識していました。しかし今回、大学生が実際に道の駅業務を体験し、地域を歩き、地域関係者にヒアリングを重ね、大学生や担当教授と議論を深める中で、「認知不足・回遊設計不足・滞在不足」という三層構造の課題が明確になりました。また、単なる調査で終わらず、観光アプリ試作や、新たな季節別コンテンツとして酒蔵ツアー実証まで踏み込めたことで、机上では見えなかった行動変容の難しさと可能性の両方を実感できたことが大きな成果です。
Q2. 取組前後で、地域や庁内にどのような変化がありましたか?
A2. 庁内では「観光資源はあるが活かしきれていない」という漠然とした認識が、導線設計という具体的テーマへと整理されました。また、大学生や地域NPO法人、地域の高校生、農家など多様な主体が交わりながら議論を重ねたことで、官学民が同じテーブルで議論し検証する文化が芽生えました。地域側も、外部の若者が真剣に向き合う姿勢に触れ、自分たちの資源を再評価する機運が高まったと感じています。取組みを通じて、地域内において、地域NPO法人を軸に、実証を前提とした議論が進む地域の主体が形成されたことも今後に向けた大きな成果だと感じています。
Q3. 大学と連携したことで得られたメリットは何だと感じていますか?
A3. 外部の若者の視点は、私たち行政が無意識に前提としていた枠組みを問い直す契機になりました。特に「単なる情報提示では行動変容に至らない」という気づきは、フィールドワークで学生が感じた生の反応や、課題解決にデザイン思考を組み込んだ大学との連携があったからこその気づきでした。また、学生が企画から実装まで担うことで、単発イベントではなく、持続的な関係人口モデルの構築という長期視点が地域と学生間で共有できたことは、大きな価値だと考えています。
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